〜〜群響創立70周年記念オペラ「蝶々夫人」桐生/前橋公演〜〜

群馬公演での主要キャストとあらすじをご紹介致します。
あらすじは「改訂版蝶々さん」としてイタリア/プッチーニフェスティヴァルで上演されたものです。
改訂された箇所があらすじの中でご覧いただけます。
 

キャスト   あらすじ

 

キャスト
 

 

蝶々さん
 

スズキ
 


岸 七美子
桐生公演
 

鈴木麻里子
前橋公演
 

諸田広美
桐生公演
 

丸山奈津美
前橋公演
 
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ごろー
 
ケート ぼんぞー

春来
桐生公演
 

斎藤忠生
前橋公演
 

森 裕美子
桐生・前橋両公演
 

飯田研良
桐生・前橋両公演
 
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アンダースタディ
 
   

ピンカートン
 

シャープレス
 
   
   
勝又 晃
公開ゲネプロ
原田勇雅
公開ゲネプロ
桐生公演/やまどり公
   

 

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「マダマ・バタフライ」あらすじ

【序曲】
 咲き乱れる1本の桜の大木の下。和洋の室に別れた和風の家と上袖には外界に通じる1本の階段、女衒ごろーが米国海軍中尉ピンカートンから請け負って、工期ぎりぎりに間に合わせた粗製乱造の新婚の家は、しかし、午後の長崎の南の太陽に燦燦とはえあがる。
緞帳が上がり、下袖では密かに洗礼を受ける蝶々さん。上袖から登場した散策中の叔父ぼんぞーに垣間見られたとはつゆ知らずにその場を去っていく。この短いパントマイムの後、すぐに暗転幕が上がり、水兵を伴ったピンカートンが聞きしに勝る桜の美しさに見とれ、ごろーが得々と彼が建てた家と、そこでこれからおこなわれる彼が仕組んだ結婚式の説明をする。
これは一途な愛と誇りに生きた、武士の娘の物語。

【第一幕】
時は明治後期。侍女のすずき、コックや下男を紹介しているところに長崎駐在領事のシャープレスが結婚式に参加すべく現れる。ウイスキーを酌み交わしながら、花嫁になる少女が永遠の愛を信じていることを心配するシャープレス。だがピンカートンは意に介さず、祖国アメリカと、いつか本当に結婚するアメリカ人の花嫁のために乾杯する。
やがて15歳の半玉芸者蝶々さんが、母や同僚の芸者と共に現れる。結婚の喜びに頬を染めてピンカートンの元に駆け寄る。シャープレスに問われるがまま、無邪気に答える蝶々さん。もとは裕福な士族の娘であること、父は亡くなったこと、15歳であること。
結婚式の支度の間、自分のわずかな持ち物をピンカートンに見せる。中には帝の命によって切腹した亡き父の短刀があった。そして、自らがキリスト教に改宗したことをそっと打ち明けるのだった。

形式だけの結婚式が終わり、一同は酒宴へ。先に帰るシャープレスはピンカートンに忠告する。「くれぐれも…」。
芸者たちの艶やかな踊りが繰り広げられているところへ、僧侶である伯父のぼんぞーが怒鳴り込んでくる。"蝶々よ!忌まわしい女よ!教会で何をした!"
蝶々さんの改宗に怒り詰問するが、ピンカートンの邪魔に遭い、親戚を連れて立ち去る。
嘆き悲しむ蝶々さんに、日本中の坊主がわめこうとその瞳から一滴の涙も流すことはない、と慰めるピンカートン。
夜の帳が下り、二人は愛の二重唱を歌う。中尉殿、お楽しみを!と無言の敬礼を捧げ、二人の愛の部屋から水兵は去っていく。

【第二幕】
結婚式から三年が過ぎ、任務を終えたピンカートンはアメリカへ帰ってしまっていた。駒鳥の鳴く頃帰るよと言い残したきり、彼からの便りはない。南妙法蓮華経…どうか蝶々さんをお救いください。仏壇の先祖に祈るすずき。その姿を見て蝶々さんは、日本の神様は怠け者よ、アメリカの神様はすぐに願いを叶えてくださるわ。でも私達がここにいることをご存知かしら、と寂しくつぶやく。
外国人の夫が戻ったという話は聞いたことがないと泣くすずきに、夫の帰りを信じる蝶々さんは「ある晴れた日に一隻の白い船が港へ入るの…」と歌う。
そこへごろーに案内をされてシャープレスが現れる。喜び、招き入れる蝶々さん。彼はピンカートンからの手紙を持ってきたのだった。ぼんぞーに絶縁され、訪れる客は全く無かったのだ。手紙を読もうとしているところに再びごろーが現れ、次いで大金持ちのやまどり公が現れる。ごろーはピンカートンが米国へ帰ってから、生活の困窮する蝶々さんをやまどり公と再婚させてもう一儲けを目論んでいた。
やまどり公のばかばかしい求婚をあしらい、追い返した蝶々さんは改めてシャープレスの読むピンカートンからの手紙に耳を傾ける。
"あれから三年が経ち、蝶々さんはもう私を覚えていないだろう。…もしも覚えていたなら、まだ待っていたなら…"
ピンカートンが戻るのだと喜ぶ蝶々さん。それを見たシャープレスは、もしも彼が帰らなかったらどうしますか、と尋ねる。人に憐れみを乞うのなら死を選ぶという蝶々さんにやまどり公との結婚を勧める。"あなたがそんなことを言うなんて!…彼は私を忘れたのね!"
蝶々さんは奥の間に駆け込み坊やを見せる。ピンカートンがアメリカへ帰ったあとに生まれた彼との子供だった。今は悲しみという名前、でもお父様が戻ったら喜びという名になります。こんな可愛い子が待っていると彼に伝えてください…。蝶々さんの哀れな願いを聞き、シャープレスは屋敷をあとにする。
父親のわからない子は世間のつまはじきだと悪態をつくごろーをすずきと共に追い返したその時、大砲の音が響いた。港の見える窓際へ駆け寄る蝶々さん。錨を下ろす白い船はアブラハム・リンカーン号、ピンカートンの乗る船だった。
私だけが信じていた、と愛の勝利を高らかに歌い、すずきと共に庭中の花を摘んでピンカートンの来訪を待つ。婚礼の白無垢を羽織り、紅をさし、障子に3つの穴を開けて、坊や、すずきと共に一晩中彼の訪れを待っていた…。

【第三幕】
夜が明けても彼は来ない。疲れ果てた蝶々さんは坊やを連れて奥の間へと入る。"憐れな蝶々さん…"すずきが仏壇にお祈りをしていると外から誰かがやってきた。シャープレスとピンカートンだった。
"奥様は坊やと共に一晩中あなたのお帰りを待っていたのです"。喜び、蝶々さんを呼びに行こうとするすずきを制するピンカートンとシャープレスのむこうに、アメリカ人の女性の姿があった。ピンカートンの妻、ケートだった。
絶望するすずき。ピンカートンは己の軽率さを嘆きその場から逃げ出してしまう。そして子供の将来を保障せねばならないとシャープレスは坊やの引き渡しをすずきに頼むのだった。坊やは自分の子供として育てますというケートに、奥様には私が一人で告げると言い、立ち去ろうとするすずき。そこへ、物音を聞きつけた蝶々さんが駆け寄ってくる。
"領事さま!あの人が来たのね!" しかしピンカートンの姿はなく、ケートの姿が目に入る。ピンカートンの妻だと知った蝶々さんは絶望し、その場に崩れ落ちる。
坊やまでも奪われることを悟り、しかし毅然と"坊やの父に渡します。30分後にお出でください"と告げる。
そしてすずきも下がらせようとするが、蝶々さんが死を覚悟していることを悟ったすずきは拒み、二口の短刀を差し出す。
"誇りある人生を歩めねば誇りをもって死に臨む"
短刀をのど元に突きつけようとする瞬間、坊やが駆け込んでくる。蝶々さんは坊やに最後の別れを告げる。
−−私の天使。美しいバラの花。私は死ぬの。お前が海の向こうで母に捨てられたと悲しまず、幸せに暮らせるように−−
すずきが一足先に訪れたシャープレスに坊やを渡している間に、身支度を整えた蝶々さんは自刃する。その直後、遠くからバタフライと叫ぶピンカートンの声が聞こえる。倒れる蝶々さんの手を取るピンカートン。その姿を見据え、すずきも自らに刃を刺す。
ピンカートンは驚きのあまり、蝶々さんの手を離してしまうのだった。