24.世界と全方位のつきあいを

 二十年間、僕はヨーロッパの国々に住んで十年前に帰国した。
 帰国の途中に旅し、偉大にして広大な、アメリカという自由世界の旗頭の国を初めて見た。
 帰国した日本はアメリカ一辺倒の国だった。
 外国語といえば英語だけ。ジーンズ、コーラ、ハンバーグ、ポップコーン、ロック、と薄利多売大衆むけアメリカ商品の洪水、アメリカのニュースや映画がヨーロッパのどの国よりもはんらんる
 戦争が終わって、日本は生まれて初めて白人と接した。それがアメリカ人だった。
 以後アメリカの統治の下で復権し、アメリカの力に守られ、アメリカが朝鮮やヴェトナムで戦うための後方補充基地としてひもじさから脱却し、アメリカと商売をして金もうけ。
――そして、いまや日本は、二国間の経済摩擦が大問題となっているように、アメリカを脅かす経済大国となった。
 平成二年二月、総選挙の結果が出た直後、首相を呼んで日米構造協議の善処をせまった米大統領。面倒をみた、と自負するアメリカは、強くなった日本にいらだっている。
 同じ白人の住むヨーロッパからみたアメリカと、日本人から見るアメリカは大分違う。
 そしてさらに昔と今ではアメリカもがらりと変わった。様変わりしたソ連、東欧、ECヨーロッパと、全方位的にアメリカは関係を強めるだろう。
 日本はアメリカに感謝し、アメリカを永遠の友としなければならない。
 しかし、時代が大きく変わってきたいま、日本・米国・欧州という西側先進経済三極の中で、日本、米欧関係だけが飛び出し、日欧関係が引っ込んでいることはない。
 三菱、ダイムラー・ベンツという日独の巨大企業グループ提携のニュースを聞き、ひしめく周りの国々との関係を、臨機応変にしたたかに生きるヨーロッパに長く住んだ僕は思うのである。