28.大学入学辞退者には金をかえせ 「いったん収めた入学金は辞退者に一切返さないというのでは、私立大学は不動産屋以下か」 −−衆議院予算委員会で池田克也元議員が゜迫った。リクルート事件でみそをつけた池田氏だったが、これには胸のすく思いだった。 だいたい日本の大学は金がかかりすぎる。二年前の調べで、首都圏の私大は、自宅通学でも平均年百二十一万円、自宅外で百七十万円かかるという。四人に一人が借金。ちなみに国立で、専門学校だが、僕の通ったローマとウィーンの音楽院は、入学金はおろか授業料まで一切ただ。ごくわずかの健康保険料を払っただけである。 子供を一人、大学で学ばせるのに家計の三分の一、四分の一もかかるのでは、貧乏人の子は大学には入れない。 金を払うという行為に対しては、必ず金額に見合った代償を得なければならない。では入学金に対する代償は一体何なのか。 授業はまだ受けていない。授業料は別に取られる。学校にまだ入っていないのだから施設も利用していない。施設使用料も別にとられる、などと考えると、説明がつくのは大学という入れ物に入るという事実が学生にとって金を払う意味がある代償だ、ということになる。入門許可料である。 わが国においては大学に入ったことが卒業と同程度までに重要視される。本来なら、入ってどんな勉強をしたかのみが問題となるべきである。だから卒業金というのならまだわかる代償だ。でもそうすると、もう学歴はもらった、とだれも払わずに卒業してしまう。 入学金は、金の必要な大学が苦しまぎれにつけた名目である。それでも金を工面して入るのは、学歴偏重社会が控えているからだ。社会意識を変えるのは時間のかかる難しいことだが、教育改革に期待するより方法がない。 池田氏の言ではないが、不動産屋でも契約が破棄されれば手付金の二割しかとらない。大学が一切返さないのは、辞退を見越した金もうけと言われても仕方あるまい。 |