3.対等の立場で話し合う国際協議を

 日米構造協議は、米国の日本に対する内政干渉である。いかに経済力を持っても、日本はしょせん大国アメリカの前にはちっぽけな存在。例えば、協議のため首相も蔵相も向こうに行き、大統領も商務長官もこっちには来ない。形だけでも対等さを示せば、われわれも少しは納得するのに。
 先進白人諸国の中で、肌の色、ものの考え方も社会構造もひとり異質な日本。結局、今回のように外圧によって血を流し、やっと戦後半世紀たって国際社会への順応構造を身につける。
 その印象はいかに総理が国会で否定してもぬぐえない。
 先日、東京新聞の「放射線」で初代内閣安全保障室長・佐々木淳行氏が要約次のように書かれた。
 ―――元英国会議員の親日家が、日本が開発途上国援助で米国を抜いて世界一になったことを初めて聞き、「なぜそんな良いことをしているのに世界に向かって言わないのだ。オックスフォード、ハーバードに教育資金を出している日本の財界人も、日本人は自分の口からそういう善行は言わない、と言ったが、そのくせ日本人はロックフェラービルなどを買ったなどと発表し、反感を買っている。日本を世界の嫌われものにしたのは、あなたの、そしてあなたの責任だ」と日本人一人ひとりに語気荒く言った。ごもっともで、てれずに国際社会への貢献ぶりを、官民一体でアピールする必要がある。
 なるほど、自己宣伝の下手な日本は損をしている。確かに損得ではそうだった。だが、しかし、善行を宣伝しないのは素晴らしい「徳」である。商売の発表とは違う。いかに好意からの発言でも、教師が生徒に説教するようになじられることはない。
 そう思うのが、われわれ日本人なのだ。親日家でも日本を自分たちの尺度で見、日本人の反応を考慮にいれない。
 互いの違いをまず尊重し、対等の立場で話し合うのが国際協議だ。
 われわれも彼らを知らないが彼らはそれ以上にわれわれを知らない。
 総理より、民意を納得させてほしい。