33.手ぬるいぞ!熊谷組、手抜き工事の懲罰

 近代の生活は企業のつくる製品に頼っている。だから起業は社会全体に対し厳しく責任を負わなければならない。
 いまわれわれが使っているものは、殆ど全部企業によってつくられたもので、それが故意でないにせよ、例えば日航機墜落事故、自動車の欠陥部品による人身事故等のように、人の生命を左右するものを売って、利潤を得ているからである。有害物質が入っていた飲料水ペリエは製品を回収、壊滅的打撃を受け、日航機事故は裁判にかけられ、自動車はリコールされ、マスコミでいずれも大きく報道された。
 乗り物、建物、食料品などなど、企業の製品は、良心的に注意に注意を重ねてつくっても、人間のやることだからときにミスが出、市民の生命を脅かすことになりかねない。
 ことに公共の機関、建築物等、自身や家事などの災害で初めて工事の良否が判明するものを請け負った企業には、厳しいモラル、自己規制が求められる。飛行機整備と同じく、仕事が終わった後となっては、われわれは、いや応なく人命を預けることにかけざるを得ないからである。
 トンネル工事の凝固剤注入を、金もうけのために故意にごまかした熊谷組は、意図的に企業の社会的使命を無視した。許しがたい。
 今年一月に起きた東京・御徒町の道路陥没で発見された後、過去の手抜きを調べる反省努力をしたのか。
 川崎で、また熊谷組の工事管理の手落ちが明るみに出た。
 一罰百戒。
 僕はこれまで熊谷組が請け負ったすべての工事で、凝固剤が契約通りに注入されていたかを自分のコストで調べさせ、これからのあらゆる公共工事入札を禁じ、社長は責任をとり自発的に辞めるくらいのことがあって当然だと思う。
 請け負ったのは熊谷組ですべての責任は彼にある。直接の手抜き責任者は刑罰を受け、社長は国民に対し責任をとるべきだ。入札締め出し程度のことでうやむやにされたのでは、公道を通る時いつも不安である。