63.テレビニュースの非音楽性

 僕は「ニュースステーション」のファンである。重箱の隅を針でつつくようで申し訳ないのだが、何度も見ているうちに気になったので書こうと思う。
 それはニュースが一区切りついてコマーシャルに行く時の短い音楽である。次にくるコマーシャル、それまでのニュースの内容に全く無関係に、判で押したごとくいつも同じ音楽が流れている。
 テーマ音楽の作曲者が出て、天気予報のバック音楽を演奏したときも感じたのだが、自分の番組内でのことだけを考えて、次のコマーシャルについている音楽とマッチするかどうかは全く考慮してないようであった。
 スイッチをまわしてよく聴いてみると、民放テレビの他のニュース番組は、どれも同じように音楽に無神経である。
 どの番組もやっているあのいつも同じで、前後の雰囲気と全く関係のない音楽は、必要なのだろうか?
 もしも使うのなら、いくつかのパターンを用意しておいて、専門のスイッチャーがそれまでのニュースの内容、キャスターの語りくち、何よりも次のコマーシャルの音楽に一番合うのを素早く選んだらどうだろう。
 音楽療法が実用化され、パチンコ屋は店内で流す音楽で玉の出を調節。同じテレビでもドラマやドキュメンタリーはとても気をつけて音楽をのせている。
 聴覚だけのラジオはどうしても、視聴そろったテレビより音楽に気をつかうことになる。遅れているテレビの中でも、どうやらニュース番組は音楽に一番無神経なようだ。
 ちょっとニュースの音楽に考慮を払えば、少なくとも今よりずっと耳への響きが良くなるはずである。
 ひょっとすると、視聴率もあがるかも?
 われわれは続けて見るのである。自分の番組内だけのことを考えたり、いつも同じ音楽を無神経に流すのは、テレビニュース番組の耳の悪さ、といわれても仕方あるまい。