82.道路公団殿、命令口調の看板をはずせ!

 道路公団殿。二年ほど前のことですが、東北より九州まで、高速自動車道が二千キロつながったそうでお祝い申し上げます。
 そこでぜひお願いしたいことがあります。
速度をおとせ″××で出る車は左へ寄れ"−−この種の命令形の看板使用をやめてくれませんか。低速に″××で出る車は左へ″で十分にドライバーはわかります。
 永年ヨーロッパに住んだ実感ですが、わが国の高速自動車道は、先進諸国に比べて著しく後れをとっております。全国に無料のアウトバーン綱を持つドイツ人は、縦にだけやっとつながって騒いでいる日本を洪笑することでしょう。
 高速といっても、最高スピードは八十キロと、どの国よりも遅く、首都高速は恒常的に渋滞。一部にしか供用されていないのだから経費の利用者負担は当然としても、料金は高すぎます。
 もしあなた方にその昔、将来の自動車社会到来の予測がたっていたなら……いや、そこまでとうてい無理でも、最近の地価の高騰を見越し、用地買収の手をもっと早く打っていたなら、もっと早くに、より安く、より長く、高速道を提供できていたはずです。
 それを政治の責任だとすべて転嫁しないで下さい。
 当事者はあなた方なのですから!!
 あのときの開通に伴い、首都高速の渋滞はよりひどくなり、それなのにあの時、二〇%の通行料金の値上げをしました。まるで末期国鉄と同じではないですか。
 それもこれもあれも我慢して、われわれ利用者は仕方なく利用させていただいております。万一、あなた方が国鉄と同じく民営化されるようになったら、いかになんでも、あのような犯罪人扱いの命令形の看板を出すことはないでしょう。
 利用者をバカにした、お役人根性まるだしとしか思わせないあのような看板をはずし、公共事業本来の責務である、サービスの向上に専心されんことを、心より望むものであります。